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【税理士試験】はじめて受験するならこの科目!簿記論vs財務諸表論

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今は開業税理士としてお仕事をしていますが、私は税理士事務所で働きながら7年かけて5科目合格しました。

この記事では、そんな私の税理士試験の受験経験や税理士視点から、「初めて税理士試験を受験する方はどの科目から受験するのがオススメ?」かをお伝えしていきます。

どの科目から税理士試験を受験するかは大事な選択の1つと考えていますので、ぜひこの記事を参考にして下さいね。

まずは…簿記論と財務諸表論について知ろう

はじめての税理士試験の受験といってもそもそも税理士試験を受験する皆さんのバックグラウンドなども様々だと思います。

「初めて税理士試験を受験するけどどの科目から受けたらいいですか?」の質問に答える前にまず簿記論と財務諸表論について説明しますね。

簿記論と財務諸表論の試験範囲
国税庁から公表されている令和6年度(2024年度)の税理士試験の試験範囲を見てみましょう。
・簿記論
複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。ただし、原価計算を除く。
・財務諸表論
会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基準、会社法中計算等に関する規定、会社計算規則(ただし、特定の事業を行う会社についての特例を除く。)、財務諸表等の用語・様式及び作成方法に関する規則、連結財務諸表の用語・様式及び作成方法に関する規則

ちょっと用語が難しく感じるかもしれませんね。
簡単にいうと、
簿記論は企業の取引をどのように帳簿に記帳するか学習する科目です。
財務諸表論は、株主や債権者などの利害関係者に報告するための財務諸表(決算書)を作成するための考え方や作成方法を習得する科目です。

簿記論と財務諸表論の試験内容と学習目安時間の比較
税理士試験の試験構成として、大きく理論と計算に分けられます。
簿記論は、計算100、財務諸表論は理論50、計算50とされます。これは、私が実際に受験したときも同様でした。

ただし、過去に簿記論で仕訳や貸借対照表の作成ではなくて文章回答があった回もあったと記憶しておりますので、簿記論が計算問題100の出題率かというと多少異なるときもあるようです。

学習時間の目安は同じくらいとされていますね。

はじめての税理士試験にオススメの科目

初めての税理士試験の受験科目は、簿記論と財務諸表論がオススメです。
初めての受験科目として簿記論と財務諸表論をオススメする理由は、主に2つです。

1つは税法、たとえば法人税法などの学習にあたっては、簿記論や財務諸表論の知識が必要となってくるためです。
法人税法などを受験したい場合、まずそのベース(基礎)となる簿記論や財務諸表論の知識が必要となってくるため、まず初めに簿記論・財務諸表論から受験しましょう!ということです。

2つめは、比較的合格率が高い科目だからです。

令和5年(2023年)と令和4年(2022年)の合格率を見ていきましょう。
簿記論の合格率は、令和5年 17.4%、令和4年 23.0%
財務諸表論の合格率は、令和5年 28.1%、令和4年 14.8%

これらは、他の科目と比べて比較的高い合格率になっています。

加えて、簿記論や財務諸表論は初学者が多く、税法科目は簿記論や財務諸表論を合格した基礎がある方が受験していることが多いことを考慮しても、簿記論や財務諸表論は税理士試験の中では比較的合格しやすい科目と言えるでしょう。

こうした理由により、初めて受験するなら簿記論と財務諸表論がオススメです。

個人的には財務諸表論は毎年安定して合格率が高く、簿記論は年によって多少変動がある印象です。令和5年と令和4年については、財務諸表論の合格率は、結構差があったようですが…

簿記論と財務諸表論はどちらから受験するのがオススメ?

簿記論と財務諸表論のどちらから受験するのがオススメですか?と聞かれたら、個人的には、簿記論と財務諸表論の同時受験をオススメします。

それは、簿記論と財務諸表論は関連性が高く、範囲が重なる部分もたくさんあるからです。

そのため、もし税理士資格を早く取得したいのであれば、大変ではありますが頑張って同じ年に簿記論と財務諸表論を同時に受験することが個人的には効率的だと考えます。

実際に私も簿記論と財務諸表論を同時に受験しました。

私の場合は、結果として簿記論と財務諸表論の2科目所得に2年かかりました。
もしも、簿記論と財務諸表論を別の年に受験していたら、どうだったかは分かりませんが、個人的には簿記論と財務諸表論の2科目同時受験は良い選択だったと考えています。

というのも、さきほどお伝えしたとおり、簿記論は年によって多少変動があり、以前は合格率10%前後の年もありました。そのため、たまたまその合格率の低い年に当たる可能性もあることを考えると、簿記論と財務諸表論の同時受験が良いのではないかと思います。

もちろん、仕事や家事、育児などとの両立などの都合で、時間的な余裕がなくキャパシティが厳しいという方は、1科目ずつの受験も良いでしょう。もし1科目ずつの受験する場合は、日商簿記検定2,3級レベルを持っていることを前提とすれば、私なら「財務諸表論」から受験するかなと思います。実際に、財務諸表論に最初に受かった方も多いからです。

長く続く税理士試験では、税理士試験受験生活の中で「早めに合格科目をつくること」、「自信をつけること」はとっても大事です。

まとめ
はじめて税理士試験を受験するなら「簿記論と財務諸表論の同時受験がオススメ」
ただ、簿記論と財務諸表論の同時受験が難しい方は、別々の年の受験でも大丈夫!その場合は、まずは財務諸表論の受験がオススメ。

早めに1つでも科目合格して自信をつけましょう!

税理士試験の勉強は大変なこともありますが、頑張って取得した資格は、将来の自分を支えてくれます。きっと、あとからあの時がんばってよかったと思える日がきます。

税理士試験受験生を応援しています。

Writer
税理士 油谷景子
税理士 油谷景子
代表税理士
愛知県名古屋市の税理士。税務業界歴17年。四大税理士法人(東京・名古屋)で上場企業向け税務や国内税務・国際税務等に従事した他、個人事務所で中堅中小企業向け税務や相続税のご相談や申告等の実務に従事、独立開業。クラウド会計や新しいツールやテクノロジーを活用し経理の効率化を支援。著書『スタートアップ企業の税金ToDoリスト』(中央経済社)ほか。
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